斎藤 拓哉(さいたこ)
前回川合南菜子さんからのリレーで今回は斎藤拓哉さんのインタビューになります。
空き家を、そして民泊施設を通して会津を照らす斎藤 拓哉(さいたこ)さん、一体どんな方なのでしょうか?
会津若松初のゲストハウスのオーナー
宜しくお願いします!
さいたこさんは様々な顔をお持ちですが、本日は会津若松初のゲストハウス 「隠れ家」のオーナーとしての取材をさせて頂きます。
まずはじめに、なぜゲストハウスを始めようと思ったのですか?
宜しくお願いします!
実は一番最初はゲストハウスをしようというつもりは無かったんですよ。
何がしたかったというと、会津若松の素敵な人達、美味しいごはん、お酒、お店をいかにして会津の外の人達に紹介するか、繋げるかと方法を模索してて、たまたまゲストハウスがマッチするなと思ったんです。
会津の素晴らしさを伝えたいんですけど、会津に来る人はビジネスホテルに泊まったり、温泉街に泊まる人が多く、そういうゲストは宿泊施設から街に出ないことが多いので。
確かに僕も温泉旅館に泊まると、チェックインして温泉入って、飯食って寝て帰りますね・・
若松市内の居酒屋街も地元民の利用率は高いのですが、あまり外に向けて広報をしていないんですよね。
せっかく美味しいお酒や料理があるのに、勿体無いと思います。
ゲストハウスって今まで経験されてました?
いえ、思い立った当時は働いたこともないですし、そもそも旅好きですらなかったです。
出不精で、若松にいて、遊んだりするのが一番好きでした。
ゲストハウスのオーナーなのに!(笑)
ゲストハウスについても、安くて~人々が集まって~・・・ってふんわりとした情報しか持ってなくて、これいいじゃん!ゲストハウスやろう!っ大学院の時に決めました(笑)
そこからが大分きつい3年間でしたけど・・・
修行したわけですか?
当時、思い立ったものの大学院の修士論文が忙しくて、ゲストハウスどころじゃなくなってしまいまして。
なんとか論文は通り卒業が決まったものの、就職が決まっていない状態でした。(笑)
たまたま今の上司にあたる先生に大学の事務職を紹介して頂き、ゲストハウスの準備をする運びになりましたが、最初の1年間が正真正銘の進捗ゼロで、1ミリも進みませんでしたね・・・空き家探しも難航するし、相談できる人もいなくて。
不動屋さんに行っても門前払い状態で、物件が見つからないんですよ。
実績が何もない素人の若者なので。
場所無いと何もはじまらないですしね。
不動産もサービスじゃなく、会津にゲストハウスって文化もなかったと思いますし・・・素性知らない人に貸すってリスクを感じたんでしょうか(笑)
そういう理由が多いと思います。特に1年目は進捗が本当になくて精神的に辛い時期でした。
2年目に何がいけなかったのか振り返って見て、実績を作ろうと思って会社の1カ月の休暇を使って長野県に行って住み込みでゲストハウスの修行に行きました。で、ゲストハウスで働いていたという肩書を得ました(笑)
晴れて経験者ですね!
その後は、「出来ることからなんでもやろう!」と思い、知り合いが所有する空き家でイベントを企画し、そこから始まった空き家活用から好転していった感じです。
インフラの無い空き家に、電気自動車から電気を供給して稼働させてみよう、という考えのもとプロジェクトを立ち上げ、人が集まる場としての「テラス」と明かりを「照らす」というダブルミーニングで、「空き家てらす」という名前で活動を始めました。
最初は七日町の三春軒を使ってクラフトビールとミニライブのイベント、そして竹藤さんにて 「いろはに酒と」という日本酒のイベント、これは今も定期開催しています。
他に学生のシェアハウスを作ったりして・・・そこらへんでここ【隠れ家】となる馬場町の物件を紹介していただいて。
巡り合ったわけですね。
知り合いの方から、面白い物件あるんだけど、見に来ない?って事で見に行ったら、「嘘だろ!」って、びっくりしました(笑)
衝撃的ですよね、建物の入り口がわからない(笑)
名言でました! 「人と人が出会うと〇〇ができる」
ゲストハウスとの事ですが、隠れ家はただ泊まるだけじゃなく、泊まる人との関わりとかを重視されているとか?
そうですね、隠れ家の理念というか、広報で良く話すのは
「人と人が出会うと物語ができる」というのを大事にしてます。
かっこよ・・・なんかファイナルファンタジーのキャッチコピーみたいですね。
「見つからないものを、見つけるために」みたいな・・・・
(笑)確かにそうですね!
自分これ、学生の頃に人と人が会うって物凄いパワーが生まれるって思ってて、誰かと誰かが会わなかったら話ができない、物語が生まれない。で考えたんですけど・・・
けど、、、そしたら、大学院の時に「化物語」とかの物語シリーズを見ていたら、
西尾維新ですね!
あれで同じセリフがでてくるんですよ(笑)びっくりしました。
被ってたんで、人に言えな!と思って・・・恥ずかしげもなく被ったものはしょうがないって思って言うしかねえって言ってますけど・・・
それを踏まえて、もう1回言ってもらっていいですか?
いやいや!やだやだやだ!(笑)
・・・「人と人が出会うと物語ができる」っていうことで
ゲストの方と自分はもちろん、ゲスト同士や、遊びに来た地元の人と、またその地元の人同士、それぞれが色んな会話をして話をするだけで物語が生まれるので、物語ができると何がいいかっていうと、誰かに話してくれる。
そっか、そうですね!
自分だけの思い出じゃなくて、皆に話したくなって口伝で広がっていくので、そういうコンセプトを大事にしようと思って、この隠れ家もBAR営業してないのにカウンターがあって、コミュニケーションが取れるような雰囲気で作ってあります。
地元の人も週末になった時は呼んだりとか、連絡もらって遊びきたりとか。
あとは、宿泊者の方にどういう人と交流したいですかー?と事前にアンケートして、可能な限りそういうジャンルの人に声かけたりとかもしてます。予約管理とか忙しすぎて全然できてないですけど・・・
ミュージシャンが泊まりに来る際は、是非僕にもお声がけください^^
隠れ家の2号店がオープン・・・・するかも!?
今後、何かやりたいことありますか?
そうですね。直近で、2号店を出したいと思ってまして・・・これが2月頃に公開されるのであれば(取材は1月)、その頃に決まりました!って言えればいいんですけど・・・(笑)
まだわからないので・・・
なるほど
これは会津のみならず、どこでも宿泊施設が足りない足りないって言われているんですけど、大都市以外はそこまでシビアな問題では無いと思います。
また、国内で見るとインバウンド、外国の方が増えているんですけど、人との交流メインのゲストハウスより、ビジネスホテルや一棟貸しの宿の方に多く泊まっている気がします。
どうしてでしょう。。。
国によってですが、そういう宿の方が良いって方が多いのかもしれませんね。
隠れ家もアジア圏のゲストはほぼ全ての予約が個室予約だったりしますし。
そういうタイプの宿が伸びている中で宿泊施設足りない足りないって言われている。
・・・おかしな話ではあるんですけど、旅館とかまだ部屋が余っているのにビジホの方が埋まってて、ビジホがいっぱいだから足りてないって。
それで、まだビジホが作られるっていう。
2020年以降インバウンドの波が過ぎたら経営大丈夫ですか!って思います。
そうですね。
あくまでイメージですが、インバウンドをメインにしている宿泊施設の多くは、2021年を意識していない宿が多いと思います。
日本人は旅をしない人が多いと言われますが、やっぱりまずは国内の人たちに来てもらえるようになりたい。そこに海外の人たちが来るようになって、初めて交流が、物語が生まれると思うんです。
ただ、隠れ家だとそういう機能は果たせてはいるんですが、あまりにも小さいので・・・MAX7人という宿泊人数なので、もう少し大規模に・・・最大20人ぐらい泊まれて、かつ交流スペースを確保できる2号店を作れればなというのが直近の目標ですね。
なるほど、大きい目標ですね!ただ、管理が大変そう・・・
スタッフに興味ある方いれば、是非ご連絡いただけると・・・・大変嬉しいです!
ご興味ある方、是非是非、さいたこさんにコンタクトとってみてください♪
まちやど「会津若松」をつくりたい!
宿としての部分はそんな感じで、これからの人生的な目標でいうと、若松の観光をもっと面白おかしくできたらなーと考えていたので。
事業としても会津若松の「まちやど」のシステムを作っていきたいなと思ってます。
まちやど・・・?
まちやどってのは、名前の通り、町が宿として機能する。
旅館街とか温泉街とかって建物に一歩入ったら、その中に宿泊、温泉、ごはん、お土産、全部がそこにあるので、わざわざ街に出る必要が少ないんですよね。
町に出てないけど、温泉旅館に泊まって、そこで日本酒を飲んで馬刺しを食べて温泉に入って、会津若松楽しかったわーって帰る。
町に飛び出さないと分からない若松の魅力がいっぱいあるんですよね。
そうですよね、その旅館のことは充分にわかりますけどね(笑)
それこそ一昔前はマスツーリズムって言われるようなものが有って、50人とか100人とか大人数での旅行やツアーが多かったので、温泉や食事からお土産からが一箇所で済むのって凄く便利だったんですよね。
効率的ですもんね。
今は少人数での旅行者が増えてきて、これまでの旅行方法よりも、旅に出る人が自分たちで旅の内容を考えたいってオリジナリティ溢れる旅にしたいと思ってる人が多くなってきてるんです。
ゲストハウスに来ていただいた海外の方に「外国人が行ったことない場所を教えて」なんてことをよく聞かれるんです。
これってまさに典型的なんですけど、自分しか知らない、自分しか体験したことがない会津若松の旅がしたいと思っているんですよ。
それこそ、朝どこいった、昼何食べた、夜どこでお酒飲んだっていうのも、自分だけの思い出にしたいって考えです。
なるほど。
宿泊から食事、温泉にお土産屋さんが一体化している宿泊施設ではなく、いわゆる「まちやど」っていうのは、飯は飯屋、酒は居酒屋など、それぞれがそれぞれの役割を担って、町全体が宿として機能する、いわば旅館「会津若松」ですよね。
それもあって、ここの隠れ家では飲食はやらないって決めているんですね。
ここで飲食やっちゃうと泊まった人が周りに行く理由が無くなっちゃうので。
そうですね。
海外の人だと英語話せないと、近くのコンビニでご飯買っちゃうんですよ。めちゃくちゃ勿体ない。
だから、どこどこのお店だと英語のメニュー表があるとか、写真が多いメニュー表になってるとか、案内をしています。
それはとても親切ですね!自分で選ぶってのは、満足度も高いと思います。
こういう観光を続けていかないといけないと思うので、会津若松にまちやどの文化をこれから作っていきたいですね。
これが僕の長期的な目標です。
素晴らしいです。
さいたこさんの話を聞いてるとゲストハウスの経営より、お客さんの立場に重きを置かれているといった感じがしますね。本日はありがとうございました!
おわりに
さいたこさんのお話を聞いて振り返って見ると、自分が今までしていた旅行は地域を絞って、じゃらんで調べて、評価高い所を見て決めていました。
その場所場所の特色を味わうことなく、お話するのもホテルだったらフロントマンとだけ話して物語も生まれず、旅というより移動という方が適当だったかもしれません。
ドラクエでいうと、ルーラ使って宿屋だけ利用して、またルーラで帰ってくるって感じで、その町の人たちとお話してない感じですね。ゲームだとしっかり町の人たちの話に耳を傾けるのに。。。なんならタンス調べてツボ割ったりもするのに。
パッケージとなった旅館やホテルは、間違いはないかもしれないですが、さいたこさんのお話を聞いて、思い出に強く残る旅というのを一度見直してみようと思いました。
これを読んでくださった県外の方も、会津若松といった温かみのある人や町並に触れて、よりよい旅をしてもらえれたらいいなーと思います。
是非、皆さんも冒険者になってみてください!